2014/06/24
引っ越したい
ここ数週間の間に奇妙で風変わりな出来事が立て続けに起こった。ちょっとした時間があると、会う人会う人に話して聞いてもらっている。なので、こうして3ヶ月ぶりにこのブログを更新することにした。
一つ目の出来事は、淀川でのジョギング中に起こった。
この季節、ジョギングで10キロぐらい走ったあとは、晴れた日であれば河川敷の草むらの中にあるベンチに寝て身体を焼くことにしてる。
パートナーからは老後に後悔するからやめろと散々に言われてるけど、身体を太陽の光にあずける気持ちよさはこの季節だけの楽しみなのだからやめるわけにはいかない。
その日の午前中は雨が降っていた。午後になって雨が止み、日が差してきたので走りに出かけることにした。
10キロほど走り終わったあと、この日もベンチに寝て走ったあとの身体を休めつつ身体を焼くことにした。午前中に雨が降っていたせいか、いくつもあるベンチのうち、身体を焼いているのはぼくだけだった。
ちなみに、ベンチに寝転ぶときは上半身は裸だ。下は短パン一枚。
晴れた日はこんなふうに似たような人間で満員御礼になる。

満員御礼中
しばらくぶりに走ったせいか、思いのほか疲れを感じていた。ベンチに横たわるとすぐに意識が朦朧としてきた。
耳元では走っている最中から入れたままにしているイヤホンから音楽が流れている。
Let it go、まさしく、ありのままでという気持ちだ。
陽だまりのなか、眠ったままの状態でしばらく過ごす。
10分ほど経ったころだろうか、突然に身体に刺激を受け目が覚めた。
誰かがぼくの身体をつっついている。
しかもなぜか、ぼくの“乳首”をだ。
なにごとかと身体を起こして前を見ると、自転車に乗った60手前ぐらいの白髪のおじさんがぼくの乳首をつついている。
「何ですか?!」
本来だったら叫び声の一つでもあげるべきなのかもしれない。
けれども、まだ半覚醒のような状態のぼくは、乳首をつつかれていたという事実よりも、起こされたことに対して疑問を感じてしまった。
「あ、ゴメンゴメン」
と言いながら、おじさんは自転車をこいでぼくの前から去っていった。
ようやく頭が覚醒してきたぼくは、自分の身に起こったことを反芻できる状態になっていた。
「あれ?え?オレいまなんで乳首、つっつかれていたんだろう?」
おじさんは去りゆく姿を見ながら、答えの出ないその疑問だけが残った。
もう一つの奇妙な出来事も寝起きに起こった。
その日の朝は、パートナーの叫び声で目が覚めた。
リビングのほうから黄色い叫び声が聞こえてくる。
「◯◯◯(ぼくのなまえ)!起きて!!ちょ、はよ起きて!変なもんがいる!」
やれやれと思いながらも寝床を抜けだしてリビングに行くと、パートナーが血相を変えてリビングの隅を指指している。
おおかたゴキブリでも出たんだろうと思って、床に顔を近づけみると、黒っぽい手足のようなものがカサカサカサと動いている。
ゴキブリにしては大きすぎる。便所コオロギでも出たか?いや大きな蜘蛛だな。
昨日の夜は暑かったのでベランダの窓を開けて眠った。どうやらベランダからそいつは入ってきたようだ。
近くにあったチラシを丸めてそのカサカサカサと動く物体をはたこうとすると、そいつは本棚の下に空いていたスペースに逃げていった。チラシを本棚の下のスペースに突っ込むと、ますます隅のほうにそいつは逃げていく。
舌打ちをしながら、跪いて本棚の下に顔を向けた。蜘蛛だと思ったそいつは蜘蛛ではなかった。
カニがいた。
英語で言うとキャンサー。
それまでメガネをかけていなったことに気づき、寝床に戻って慌ててメガネをかけリビングに戻る。
メガネをかけてそいつを見てもそいつは紛れも無く「カニ」だった。カニはカニでも、いわゆるサワガニに分類されるカニだ。大きさ的には子供の手ぐらいの大きさ。
やばい。これは、まじで、やばい。
丸めたチラシで外に出そとうしてもそいつはびくともしない。しょうがないので今度はテレビのリモコンで本棚の下からそいつを押し出すようにして攻める。
リモコンに押し出されて、ようやくそいつはベランダに逃げていった。ベランダに出たそいつは、お隣との境目にある壁の下の隙間から、お隣のベランダに消えて行った。カサコソ。カサコソ。
とりあえず、目の前の危機は去った。けれどもぼくは眼前で起こった事実を受け入れられずにいた。
ここは都会のマンションの7階。
なぜ、都会のマンションの7階のベランダから「カニ」が入ってくる?「カニ」が??

種類で言うとこのタイプ
隣の隣のご家庭には中学生ぐらいの男の子がいたはずだ。もしかしたら、飼っていたカニが水槽から逃げたのかもしれない。
お隣は中国人の夫婦が住んでいる。もしかしたら、こちらのお隣が飼っているのかもしれない。
ここは淀川から1キロも離れていない。淀川の河原近くでは何度もサワガニを見かけている。カニさん達は、淀川からここまで散歩しにやって来たのかもしれない。
そんなわけはない。
やりばのない疑問を胸の奥にしまい込んで、ぼくは仕事に行く準備を始めた。リビングの隅ではパートナーが呆けに取られている。
そろそろ、引っ越したい。
リアルに、切実に。
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