観てきたのは2週間ほど前。
たしかにやたら紫煙がフィーチャーされている映画だなという印象はあった。
そうそうシケモクってこうやって吸ったな〜とか、奥さん気にせずに吸ってしまうんだよね〜、とか喫煙者あるあるがけっこう散りばめられてたと思う。
禁煙学会さんにすすめられたとおり、Yahooのリアルタイム検索を見ると
こんな感じ。
たしかに、けっこう吸いたくなったという意見が見受けられるね。
その主張が的を得て共感を得られるものであるかどうかは別にして、禁煙学会さんが禁煙を使命にああいう抗議の声を挙げるのは全然あっていいと思う。むしろ、ジブリという巨大な存在に対してあそこまでストレートに「抗議」というかたちで声を挙げるのは勇ましくて素晴らしい。
冒頭にも書いたけど、僕自身煙草が恋しくなったのは事実なので、こういう人間が一人でもいる以上、禁煙学会の主張もあながち馬鹿にできないのではないだろうか。
ひとまず、喫煙への影響に対する是非はおいておこう。そんなことを書きたいんじゃない。
喫煙への影響うんぬんよりも
「風立ちぬ」のテーマは、戦争はやってはいけない=命がいちばん大事だ、と言うことだと思います
というくだりに僕は違和感を覚えた。
戦争反対、命が一番、ってことも宮崎駿が言いたかったことのうちの一つではあるかもしれないが、これがテーマと言ってしまうのはどうだろうか。
この映画にテーマというものがもしあるとするならが、僕は「夢(仕事)を追う素晴らしさとその残酷さ」みたいなところにあるんじゃないかと思っている。
戦争という時代のなかで自身の夢を追求したことによって結果としてたくさん帰らぬ若者を生み出したけれども、彼自身はゼロ戦という歴史的名機を生み出せた。その裏では病床の妻に寄り添うこともできずに死なせてしまうという悲劇も甘んじて受けいれる。
これだけ煙草のことがかまびすしい今の世の中でああいうふうに煙草の描写をセーブせずにやったらこういう反応が出てくるであろうことは、様々な会社が製作に関わっている以上、製作側も予期していなかったわけはないと思う。
むしろ、こういテーマの作品であるからこそ、自身の映画づくりという仕事でもブレずに己の表現を貫き通したんじゃないだろうか。
とまあ、まわりで「風立ちぬ」を観てきた人間3人ほどと話したけど、たしかにこの映画は観たら何かを語りたくなる映画であることは間違いない。
こうやって、僕も禁煙学会の抗議に触発されて書いてしまったわけだし。
おまけ
ジブリ「風立ちぬ」韓国公開が危機 ゼロ戦題材に「右翼映画」批判止まず
http://www.j-cast.com/2013/08/12181362.html?p=all米国の原爆開発者ロバート・オッペンハイマーを主役に、『爆弾裂けぬ』なんてアニメを作って封切りすればいい
なにこれ。ちょっと観てみたい気がする。
オッペンハイマーはわからないけど、マンハッタン計画にも参加したノーベル賞物理学者のリチャード・ファインマンのこの自伝を読むと、映画「風立ちぬ」と似たよう状態にあった科学者がいたことが分かる。


ロスアラモス国立研究所でのマンハッタン計画に招聘されたファインマンは、日夜原爆の研究に勤しむ一方、結婚したばかりの妻とはなかなか会えない。
実は妻は不治の病に侵されてり、妻を少しでも看病できるよう、ファインマンは妻をロスアラモス近くで療養させる。
激務のなか、憲兵の検閲をかいくぐって手紙で愛を確かめ合う二人だったが、妻は逝ってしまう。
妻の死を看取ったあと仕事に戻った彼に、同僚がお悔やみの言葉をかける。
それに対して返した彼の言葉が、「彼女は亡くなったよ。で、例のプログラムはあれからどうなっているかい?」
どうでしょう?
『爆弾裂けぬ』観たくなってきませんか?
ピクサーあったりが作ってくれたらいいんじゃないでしょうか。
おまけ2
堀辰雄の「風立ちぬ」は著作権がもう切れている作品なので、ゼロ円で読めます。
青空文庫でも読めますが、Kindle版もあります。


今年の夏は観たい映画がたくさんあって困る。
次は「
パシフィック・リム」と「
ワールドウォーZ」のどちらを観にいくか思案中です。
ゾンビ好きとしてはワールドウォーZを先に観に行こうと思ってたのに、まわりの反応では「パシフィック・リム」を推す声が強いので迷っている。
まったく。
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